誕生日

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外回りの予定のない今日は、お弁当を持参していた。 社員食堂のフリースペースに行こうかと思ったけど、 あまりの天気の良さに、企画営業部のあるフロアの、自販機の並ぶ休憩スペースに席をとった。 こちらの方が、窓が大きい。 降り注ぐ日差しが気持ちいい。 お弁当を広げてから、スマホを手に取った。 修に返信しておかなくちゃ…。 それもあって、人気(ひとけ)の少ないこの休憩スペースを選んだのもある。 正直、午前中LINEのことばかり考えては、仕事の手が止まってしまった。 さっさと済ませてしまおう。 「まさかLINEが来るとは思わなかったから、ビックリし過ぎて時が止まったわ(笑) どうもありがとう。嬉しいです」 送って、少しスッキリした。 文面は午前中にあれこれ考えていたので、今回はさっと書けた。(仕事しろ) きっと前回同様、修からの返信は無いんだろう。 やっとお箸を取り上げて、お弁当を食べ始める。 「今日お弁当だったのか〜」 伊佐さんがにこやかに話しかけてきてくれた。 「そうなんですよ。外回りの予定が無かったもんで」 「そかそか。いつも美味しそうだね〜」 「いやいや、よく見て下さいよ、これ冷凍食品(笑)」 「でもそれ以外は手作りでしょ?切り干し大根も玉子焼きも美味しそう」 「ありがとうございます〜」 「ねぇ」 と、ここでまたLINEの通知音。 えっ、まさかの、修から返信……!? つい慌ててスマホを取り上げ、あっ、と伊佐さんの顔を見る。 「いーよー、先に見たら?」 「すみません……」 お言葉に甘えて確認したら、美奈ちゃんからだった。 修じゃなくてガッカリしたのと、美奈ちゃんからで嬉しかったのと、気持ちは複雑。 「結菜さーーん!お誕生日おめでとうございます♪もし今日予定が無かったら、飲み行きませんか〜??╰(*´︶`*)╯♡」 ふっ、カワイイ顔文字。 「ありがとう〜!行けるよ。誕生日に予定ナシなわたしです( ; ; )笑」 ……かわいそうな顔文字。 返信してから伊佐さんを見た。 「すみませんでした、なんでしたっけ?」 「ん?お弁当が美味しそうだって話だよ。じゃね、俺は昼、外行ってくるよ〜」 と行ってしまった。 ……そうだっけ? 何か話しかけてた気がするけど。
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