不思議な、告白?

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「意味が分からないよね。 俺も上手く伝えられている気がしない。 友達や同僚では我慢ができない。もっと、深い関係でありたい。 でも、恋人にはなれない。例え、結菜ちゃんが俺のことを好きでも。 いや、もし好きになってくれるとしたら、これ以上ない喜びだけど、恋人には…なれない」 わたしの頭の中は、混乱していた。 たくさんの熱い想いを聞いたはずなのに、最後の最後で肩透かし…?いや、 肩透かしと思う時点で、わたしは伊佐さんと付き合いたいのか?と。 それも分からない。 そして、多分これは告白な筈なのに、『恋人にはなれない』ことばかりを強調されている気がする。 「……うん。とりあえず全部言えたかな。では、質問コーナーどうぞ」 いやもう、分からないことだらけで、何から質問すればいいのか分からない。 とりあえず今可能性として浮かんだことを聞いてみることにした。 「もしかして伊佐さん、既婚者ですか?」 「あ、言ってなかったね。結婚はしていないよ、今は」 ということは……普通に考えて、バツイチ?いや、バツニかもしれないけれど。 とにかく現在は、独身、と。 「あ、婚約者がいるとか?これから結婚する?」 「いや、婚約者もいないし、結婚の予定もない」 「じゃあ…お子さんを引き取っているとか?もしくは、養育費を払っているとか?」 「いや、子供はいない。1人も。どこにも」 そうなのか…じゃあなんで、わたしとは恋人にはなれないのだろうか。 他の可能性が思い浮かばない。 「どうして、『恋人にはなれない』んですか?」 「その理由は…今はまだ、言えない。言えないというか、言ってもいいんだけど、言う決心がつかない」 そこはNGなのか。 さっぱり(わけ)がわからない。 「で、わたしたちはこれからどうなるのがいいんですか?」 「今よりもっと近くなりたいと思ってる。さっきも言ったように、結菜ちゃんの心の拠り所になりたい」 「それって、『恋人』と何が違うんですか?」 伊佐さんは少し上を向いて、“うーん”と唸った。 「心は恋人。でも、身体の関係はナシ。そして、恋人ではないから、結菜ちゃんは他に好きな人をいつつくってもいい。そうなったら、俺は潔く離れるよ。結菜ちゃんを困らせたいわけじゃあない」 ……なんて誕生日だ。
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