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晩秋
結局よくわからないままに、返事は“保留”とさせて貰った。
いきなりは断らずに“保留”にしたということは、わたし自身これから…なんという名前の関係になるのかはわからないけど、
伊佐さんと一緒にいることを望んでいるのだろうか。
伊佐さんはとても素敵な人だ。
“付き合って”と言われたのなら、断る理由がないほどの人。
ただわたしにとっては、未だ心に住み続ける、他の男の存在がある。
修は……もうわたしのことなんて忘れているだろう。
誕生日にメッセージをくれるぐらいは気に留めてくれているとしても、新たな彼女がいる。夏に見たSNSによれば、仲良くやっている筈だ。
わたしとどうこうなるなんてあり得ない。わかってる。
わかってるのに……忘れさせてもらえないのだ。
何かあるたびに、修のことを思い出す。
今回のこと然り。
けれど、伊佐さんと一緒にいることを受け入れるとしたら、今後は何かあるたびに伊佐さんのことを思い出すということになるのか。
出来るのか…?
修のことを、思い出さずにいられるようになるのか。
堂々巡りの日々は、なかなか“保留”から先の答えを出してくれなかった。
伊佐さんは以前と変わらず朗らかで優しくて誠実だった。
返事を急かされることもなかった。
伊佐さんからの提案も、謎なままだった。
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