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自分のことなのに、どうすべきかまだ決めかねていた。 転職すべきか、とどまるべきか。 転職した場合のメリットーーやってみたかった仕事に携われることと、彼と彼女の姿を見ないで済むこと。 とどまった場合のメリットーー彼との失恋を苦にしての転職だという誤解を受けないで済むこと。それと…彼との縁が、完全には切れないで済むこと…。 うわ、我ながら女々しい。 プルルル……プルルル…… 内線だ……あっ、今誰もいないのか! 慌てて受話器をとる。 仕事中、仕事中! 「はい、企画課森田です」 「……販促課宮崎です。西野課長いらっしゃいますか?」 彼だ。 ついこの前まで「あー俺、俺!西野課長いる?」だったくせに。 胸がギュッと苦しくなる。 もう、わたしと付き合っていたときの彼ではないんだ、と思い知らされる。 電話越しの彼の声も、大好きだった。 転職したら聞けなくなるな…。 「なによぅ、この前まで『俺俺!』だった人が(笑)今課長席外してるけど、すぐ戻ると思うよ?折り返すように言う?」 彼にこれ以上気を遣わせない為に、以前と同じように対応した。 だって、人を好きになる気持ちはコントロール出来ない。 彼の気持ちがわたしから離れて、彼女を好きになったことを、誰も責められない。 彼が悪いわけじゃない。 いや、次に行くなら、せめてこっちをきちっと終わらせてからにして、とは思うけど。 「ん………、ありがとな。」 「へ?いやいや(笑)多分トイレとかだと思うし」 「…そうじゃなくてさ…普通に話してくれて。」 うーん。気を遣わせないようにしたつもりだけど、 これでも気を遣うか。そりゃそうか…。
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