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………濃い一日だった。
朝から伊佐さんと話し合って、わたしは伊佐さんと一緒に過ごすことを決めた。そして一日中共に過ごした。
自分自身、こんなに早く結論が出たことは驚きだった。
でも確かにあの時思ったのだ。
“伊佐さんを手放したくない”と…。
こう決めたことに後悔はない。
今日一日、とても楽しく過ごせた。
ドライブも、食事も、植物園も、洗車も楽しかった。
伊佐さんと過ごす時間は居心地が良く、すべてを受け入れてくれる安心感があった。
1人で過ごすより……修のことを思い出すことも少なかった。
ただ、心のどこかで
伊佐さんの好意を利用している、という感覚がまだある。
この罪悪感のようなものは、いつ消えるのだろう。
わたしが、本当に伊佐さんのことを好きになれば消えるのだろうか。
“もう誰のことも、修以上には好きになれない気がする”
退職した時のあの想いを、覆すことはできるのだろうか?
ふと思い出し、スマホを手に取る。
『……柊…花言葉』
検索してみる。表示されたのは、
『あなたを守ります』
胸の奥がギュッとして、息を呑んだ。
これを、あの小さな白い花を見ながら
伝えようとしてくれていたの?
咄嗟の思いつきで『痛くしないで』とふざけて良かった。
伊佐さんが爆笑してくれて、本当に良かった。
もし面と向かってあのとき言われていたら、泣き出してしまっていたかもしれない。
柊の花言葉は他にも、『信用深さ』があった。
伊佐さん、あなたにぴったりの花言葉じゃないですか。
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