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2人並んでラブコメ映画を見た。
同じ場面で笑っては、顔を見合わせてまた笑う。
こうやって、段々心の距離も近くなっていくのかな、と嬉しくなる。
映画が終わり時計を見ると、16時を少し過ぎていた。
「お酒冷えたかな。もう始めちゃいます?」
と立ち上がると、
「え、今日俺も飲むの?」
「え?飲まないの?」
とお互いキョトンとした。
「だって、せっかく伊佐さんが重たい思いして持ってきてくれたのに。美味しそうな日本酒だから、お刺身も買いに行ったのに。土曜日なのに……」
ウキウキしてたのに。
「いやー、初めて来た女性の部屋で、お酒飲んだら軽蔑されるかな、って思ってさ…」
「もう!軽蔑なんてしないです!せっかくなんだから一緒に飲みましょうよ〜〜」
身体を揺らして、駄々っ子みたいに言ってしまった。
だって、わたし1人で飲んだってつまらない。
一緒にいるんだから、一緒に「「美味しいね」」って言い合いたい。「「楽しいね」」って言い合いたい。
「…結菜ちゃんがそう言ってくれるんだったら、一緒に飲もうか!」
と伊佐さんが言ってくれて、
「そうこなくっちゃ!」
と準備を始める。
最初のわたしの予定では、普通に夕飯のつもりだったけれど、お酒を飲むことになったから、ご飯と汁物はシメに変更。
タイマーをかけている炊飯器の中では、18時ぐらいに鮭と大根の炊き込みご飯が炊き上がる予定だけど
用意しておいたオカズで飲み始めよう。
常備菜も兼ねて作ったひじきの煮物を小鉢に盛り付け、オーブンの中で余熱で火を通していた鶏肉の照り焼きに、スライスしたカマンベールチーズとアルミホイルを乗せて再加熱。
パン粉まで付けてあったオニオンリングとイカリングを揚げ、千切りキャベツと一緒に盛り付ける。
冷やしたトマトは薄くスライスして、イタリアンドレッシング。
グラスや取り皿、盛り付けたお料理をダイニングテーブルに置いたトレイに乗せると、伊佐さんがさっと取りに来て「これ持ってってもいい?」と運んでくれる。
本当に気の利く人だ。
とても作業しやすい。
お部屋のテーブルにお料理を並べ、
「まずはビール!」とお互いにお酌して
グラスを鳴らした。
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