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テレビは、気の張らないバラエティーを録画していたものを流した。
「ちょっとまだ出来てないものもあって。少ないですけど」
「充分充分!美味しいね〜、このひじきの味付け好きだ〜」
素直に嬉しい。
「お刺身は、日本酒のタイミングで出しますね」
オーブンが、加熱終了のメロディを奏でた。
「あ、焼けた。ちょっと待ってくださいね」
熱々の照り焼きを取り出し、フォークで抑えながらカマンベールチーズと一緒に切り分ける。
ベビーリーフと一緒に盛り付けて、焼いた時に出た脂をベビーリーフの上からかけた。
「はいっ、おつまみ追加です〜」
「うまそーー!!」
早速お箸を伸ばす伊佐さん。
「チーズトロトロ!うま〜!」
「良かった」
やっぱり男の人はお肉があった方がいいよね。
伊佐さんが喜んでくれて嬉しい。
「お昼のサンドイッチも美味しかったし、これ、全部今日一日で準備したの?」
「昨日の夜作ったのもありますけど、ほとんどは今日起きてから…」
「すごい!そりゃー」
と言ってわたしの顔を見てニヤリと笑う。
ピンときた。
「「着替える時間も無くなるよね」」
あぁもう、これ当分イジられるやつだ。
「この後、シメのご飯とお汁もありますからね〜」
「すごいじゃん、得意じゃないなんて言って〜!あれも美味しかったよ、お昼の、ツナサラダ?玉ねぎの入ってるやつ。クラムチャウダーも!」
「あ、まだありますよ。出します?」
「食べる食べる〜!」
伊佐さんって、わたしが嬉しくなる言葉を全部知っているんだろうか。
カワイイとか、綺麗とか、美味しいとか、惜しげもなく降り注いでくれる。
褒められて嬉しくて、いそいそとサラダをよそった。
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