112人が本棚に入れています
本棚に追加
/122ページ
情報過多
皓と佐藤さんが急な出張になった日。
ポカンと予定が空いて、夕飯どうしようかな〜と思っていると、久しぶりに美奈ちゃんから食事のお誘いがあった。
グッドタイミング。
「なんか久しぶりだね。2ヶ月ぐらい空いたよね。忙しかった?」
と言うと、思いがけない返事が返ってきた。
「彼氏が出来たばっかりなんで」
えっ!!
「そうなの!?おめでとう〜!!どんな人?わたしの知ってる人!?」
興奮して聞くと、キョトンとしてる。
「え、聞いてませんか?」
「なにを?誰から?」
「付き合い始めたこと。やっちゃん……泰成さんから」
待って。泰成さんて誰よ。
聞き覚えある……気もする……けどわからない。
「佐藤さんですよ、もう。だから今日来られたんじゃないですか。伊佐さんと一緒に出張行ってるでしょ?」
と恥ずかしそうな美奈ちゃん。
はい??ほんとに!?
それにしても、本当にそうなったのか。
皓と冗談で言っていた時は、まさかと思っていたけれど。
「わたしなんにも聞いてなかった!おめでとう〜、佐藤さんもいい人だよね!」
「佐藤さん“も”?それって……伊佐さん“も”ってことでいいですかね?」
何気なく言った言葉を拾って、ニヤニヤする美奈ちゃん。
え、どこまで知ってるんだろ。
というか、皓ってわたし達の話、佐藤さんにしてるのかな?
「なに、どういうこと?」
「あれ、違うんですか?」
違うこともないような、なんというか……。
返事に詰まる。どこまで知ってるかもわからないし、迂闊なことは言えない。
「結菜さんの誕生日のとき、やっちゃんに送ってもらったじゃないですか。そのときやっちゃんが、『伊佐があーやって別方向の女性をわざわざ送ってくの、森田さんだけなんだよな』って。『ありゃなんかあるな』って言ってたから、てっきり…。だから今日、結菜さん誘っても大丈夫かな?って思って…」
……そういう感じか。
ちょっとホッとした。
そりゃそうだ、皓が勝手にベラベラ喋るわけないのに。そういう人じゃないのは、よく分かってるのに。
「美奈ちゃん、あのね」
「はい?」
「わたしも、伊佐さんのこと、好きなんだと思うんだ」
「やっぱり〜〜!!伊佐さんも、結菜さんのこと好きなんですよね?」
「……そうみたい」
言いながら顔が熱くなる。
「そういうことなら!また4人で飲みましょうね!」
と嬉しそうに美奈ちゃんが言った。
そして、小さく
「………ちょっとホッとしました」
とも。
最初のコメントを投稿しよう!