情報過多

1/3

112人が本棚に入れています
本棚に追加
/122ページ

情報過多

(こう)と佐藤さんが急な出張になった日。 ポカンと予定が空いて、夕飯どうしようかな〜と思っていると、久しぶりに美奈ちゃんから食事のお誘いがあった。 グッドタイミング。 「なんか久しぶりだね。2ヶ月ぐらい空いたよね。忙しかった?」 と言うと、思いがけない返事が返ってきた。 「彼氏が出来たばっかりなんで」 えっ!! 「そうなの!?おめでとう〜!!どんな人?わたしの知ってる人!?」 興奮して聞くと、キョトンとしてる。 「え、聞いてませんか?」 「なにを?誰から?」 「付き合い始めたこと。やっちゃん……泰成(やすなり)さんから」 待って。泰成さんて誰よ。 聞き覚えある……気もする……けどわからない。 「佐藤さんですよ、もう。だから今日来られたんじゃないですか。伊佐さんと一緒に出張行ってるでしょ?」 と恥ずかしそうな美奈ちゃん。 はい??ほんとに!? それにしても、本当にそうなったのか。 皓と冗談で言っていた時は、まさかと思っていたけれど。 「わたしなんにも聞いてなかった!おめでとう〜、佐藤さんもいい人だよね!」 「佐藤さん“も”?それって……伊佐さん“も”ってことでいいですかね?」 何気なく言った言葉を拾って、ニヤニヤする美奈ちゃん。 え、どこまで知ってるんだろ。 というか、皓ってわたし達の話、佐藤さんにしてるのかな? 「なに、どういうこと?」 「あれ、違うんですか?」 違うこともないような、なんというか……。 返事に詰まる。どこまで知ってるかもわからないし、迂闊なことは言えない。 「結菜さんの誕生日のとき、やっちゃんに送ってもらったじゃないですか。そのときやっちゃんが、『伊佐があーやって別方向の女性をわざわざ送ってくの、森田さんだけなんだよな』って。『ありゃなんかあるな』って言ってたから、てっきり…。だから今日、結菜さん誘っても大丈夫かな?って思って…」 ……そういう感じか。 ちょっとホッとした。 そりゃそうだ、皓が勝手にベラベラ喋るわけないのに。そういう人じゃないのは、よく分かってるのに。 「美奈ちゃん、あのね」 「はい?」 「わたしも、伊佐さんのこと、好きなんだと思うんだ」 「やっぱり〜〜!!伊佐さんも、結菜さんのこと好きなんですよね?」 「……そうみたい」 言いながら顔が熱くなる。 「そういうことなら!また4人で飲みましょうね!」 と嬉しそうに美奈ちゃんが言った。 そして、小さく 「………ちょっとホッとしました」 とも。
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!

112人が本棚に入れています
本棚に追加