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「シャワーでいいから。今借りてもいい?」
皓にそう言われ、「あ、うん!どれでも使ってね」と平静を装って答えて、バスタオルを渡した。
さっきの話題もあったし、この流れだとわたしが誘ってしまったことになるのかしら。
どうしよう、そんなつもりで言ったわけではないけど…
でも別に、拒む理由もない。
拒む理由はないけど……その気もない皓が、気を遣ってアレコレしなくちゃいけない、って思ってたらどうしよう。
だからと言って、シャワーを終えた皓をいきなり捕まえて、
『そういう意味じゃないから!!』
と弁解するのもおかしいし…
あぁ、お風呂のくだりだけ、デリート出来たらいいのに。
ウォークインクローゼットから客用布団を出しておこうか。
いやそれもまた、全力で拒否してるみたい?
『別々に寝ようね!』って言ってるみたいではないか。
やめておいた方が無難?
あまりに落ち着かず、収集日はまだ先なのに
いらない雑誌をビニール紐で縛ってみたり、無駄に本棚の背表紙を揃えてみたりしていた。
「……何やってんの(笑)」
出てきた皓に笑われる。
「や、なんかちょっとここ、ガタガタだったから、その」
挙動不審の極み。
「お先にありがとう。さっぱりしたよ。これでいつ寝ても平気(笑)結菜ちゃんも入ってくる?」
「あ……そうね、うん」
裸ん坊のお風呂場で思う。
皓、全然普通だな…。
取り越し苦労であることを祈る。
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