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お風呂から出ると、皓がキッチンでレモンを切っていた。勝手知ったる他人の家。
「おー、出た?さっぱりしたでしょ〜。ビールとハイボールどっちにする?」と聞いてきた。
「え、確かわたしのビール飲みかけ…」と部屋のテーブルに行くと、グラスが無い。
「お風呂上がりは冷たいのがいいでしょ?温くなってた残りは俺が飲んじゃったから。グラスは〜〜〜ドロドロドロドロジャン!ここ!」
洗ったグラスが冷凍庫で冷やされていた。
気が利く…奥さんか。
「うわー、さすが皓、気がきくね!ありがとう。ドラムロールはいらなかったけど(笑)」
「どっちにする?」
「皓がせっかくレモン切ってくれたから、ハイボールにしようかな〜」
「はい、じゃここ座って」
とソファを背にして座らされる。
レモンと氷を入れたグラスを持ってきてくれた。
ウィスキーと炭酸水は既にスタンバイされていた。
至れり尽くせりじゃん。
「わーい、ありがとう」
と言ってハイボールを作る。
と、後ろのソファに座った皓が、わたしの肩に掛けていたバスタオルで髪を挟んでパンパン!と叩いて水気を取ってくれている。
なんか……手慣れてるな。
いつの間にやら洗面所から持ってきていたドライヤーで、乾かし始めた。
「いいよ〜、あとでやるよ〜、自分で〜」
と少し声を張って言ってみたが、
「聞こえな〜い」と返されそのまま乾かし続けてくれた。
好きな人に髪の毛を乾かしてもらうのは気持ちよかったけど
また思った。
手慣れてるな。
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