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核心
皓もやっと腰を落ち着けて、ソファを背に2人並んでハイボールを飲んでいた。
いつもと同じように、バラエティ番組を流し見ながら笑う。どうでもいい話をする。
穏やかな時間が流れる。
皓が腕を大きく回して、後ろのソファに預けるようにして置いた。このままだと………肩を抱き寄せられそう。
ハグは何回もしたけど、今までそうされたことはなかった。
少し驚いて皓の顔を見ると
「…触れてもいいの?」
と聞かれた。
「…うん、もちろんいいよ。皓…好き」
そう答えると、わたしの肩をぎゅっと抱き寄せた。
皓の安心する体温と匂いに包まれる。
わたしも皓の肩に頭を持たせかけた。
「…触れたくなっちゃった」
と、囁くように皓が言った。
うなじから耳の裏へ、ゾクゾクッとした感覚が走る。
今日皓は、
『だって、部屋に入ったら触れたくなっちゃうと思って。“身体の関係はナシ”って、俺が言い出したことなのに』
と言っていた。だから部屋には入らなかった、と。
その皓が、『触れたくなっちゃった』と言った。
皓の言う『触れる』とは
その先に、そういう意味があるのだと
理解した。
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