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「仕事の方は『下っ端』(笑)だとして……
もしかして、結菜さんも元気ありません?」
「っ、そんなことないよ!元気だよ〜」
元気さアピールの為に、ぐいっとジョッキを傾ける。
「そうならいいんですけど。この前みたいな、キラキラした感じじゃないかな〜って」
「ふっ。キラキラしてた?わたし?」
「してましたよ。わたし安心したんですから」
美奈ちゃんの観察眼には驚かされる。
ということは、修が元気がないというのも、間違いないのだろう。
「伊佐さんは元気にしてますか?」
「うん、元気だよ」
咄嗟にそう答えたけど、本当に心の底から元気だろうか。
あの話を聞いてから、皓はわたしに気を遣っているように感じていた。
話題を外らせようと、
「美奈ちゃんは?佐藤さんと仲良くやってる?佐藤さんね、ニヤニヤしてるだけでなんにも話してくれないんだよ〜」
と言ってみた。
「仲良くやってますよ。逆にベラベラ喋られてたらイヤですよ。わたし達は喋りますけどね!女の特権(笑)」
確かに、男の人はあんまりそういう話してなさそうなイメージ。
美奈ちゃんが、何かに気づいたように顔を上げて
「結菜さん」
と呼んだ。
うっ。改めてこうやって名前を呼ぶときの美奈ちゃんは怖い。
「はいっ、なんでしょう?」
つい身構える。
「伊佐さんのこと、好きですか?」
ん?なんかちょっと、ボリューム上がってない?
つられてわたしも、少しボリュームを上げた声で
「うん、好き。大好き」
と言った。
それは躊躇なく答えられる。
「ですって(笑)」
美奈ちゃんは笑いながらわたしの背後を見上げた。
驚いて振り向くと、佐藤さんが面白そうに
皓が恥ずかしそうに笑って立っていた。
こら、美奈め〜〜〜!!
声にならない心の叫び。
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