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「耳が悪いと?」
首を横に振り、体を起こして両手を合わせ右頬につけて目をつぶり、すやすやと寝ているポーズを作った。
「寝とったと?」
うんうん、と二度うなづく。
「こんなところで?」
一度うなづく。私はどうしてもまだ納得がいかず、この少年を指さし、口をゆっくり大きく動かした。
(か、み、さ、ま?)
少年はすぐ理解してくれた。
「神様?」
二度うなづく。
「神様って俺が?」
一度うなづく。
目を見開き、一瞬の間が開いた後、彼の朗らかな笑い声が境内に響き渡り、もう少しでコダマしそうな勢いだった。
「こんな真っ黒に焼けたちびの神様とかおらんやろ。何でそう思ったと?境内から出てきたからか?」
それだけが理由ではなかったので、少し首をかしげて考える素振りを見せてから、一度ゆっくりとうなづいた。
「暇やけん遊んどっただけばい。お前どこの家の子や?」
神社の裏を指さす。
「廣沢のばあちゃんち?夏休みだから遊びに来とると?」
一度うなづく。
「そうなんや!じゃあ一緒に遊べばよかやん。もうすぐレンたちが来るけん。レンは六年生で、俺は五年生ばい。あと、他に女の子も来るけんよかろ?五年生と三年生の姉妹やっけんすぐ仲よくなれるったい」
少し首をかしげ不安になりながらも曖昧に一度うなづく。
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