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 この男の子が同い年であることにびっくりした。全てが自分とはかけ離れた存在に見えたため、年齢なんてものが彼に存在すること自体不思議に思えた。 「俺はナオユキ。ナオとか、ナオちゃんって呼ばれるばってんお前は?何て呼べばいい?」 (ミ、コ、ト)  ゆっくりと大きく口を開ける。 「ミーコ?」  首を横に振りもう一度大きく口を開ける。 (ミ、コ、ト) 「ミーコート?」  二度うなづく。 「ミコトって呼んでいい?」  一度うなづく。 「ミコトはしゃべれんと?」  この質問を避けては通れないので、首をかしげて少し考える。しゃべれないことはない。しゃべれないことはないが、それを詳しく説明するのは紙とペンがないと無理だろう。  右手の人さし指と親指の間を微かに開けて (少し) と答えた。 「少ししゃべれる?」  一度うなづく。 「しゃべれるんや。俺の声もちゃんと聞こえとる?」  もう一度うなづく。 「何でしゃべらんと?」  私は雲一つない空を見上げて少し考える。そして自分の胸を指さした。 「胸?心臓?」  伝え方が難しい。んー、と胸を指差したまま止まって考える。 「心か?心の問題?」  うんうんと二度うなづく。 「そうなんや。あ、レンたちが来た!みんなこの辺に住んどるやつやけん、すぐ仲よくなれるばい」  私の話などあまり興味がなさそうで、境内からの階段を飛ぶようにかけ下りた。両端に佇む狛犬の体が一瞬ぼんやりと光って見える。二体のお尻からくりっと伸びる尾が生き生きと動いたような気がした。   彼の後ろ姿を見て、やっぱり神様なんじゃないかなあ、とまだ疑っていた。
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