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 急いでナオちゃんを追いかけると、レンくんと思われる少年と女の子が二人立っていた。女の子二人は顔が似ているのでたぶん姉妹なのだろう。 「廣沢のばあちゃんちの孫らしい。ミコトって名前ばい」  ナオちゃんは後ろにいる私に目を向けながら紹介してくれた。 「へえ!私はリサキ。リッちゃんって呼んでね。こっちは妹のサトハ。サトちゃんってみんなには呼ばれてるかな。そっちの大きいのはレンくん。ねぇねぇ、ミコちゃんって呼んでもよか?どこから来たと?いつまでこっちにおると?」  リッちゃんは人見知りしない性格なようで、最初から目をキラキラさせて人懐っこく話しかけてきた。  私は目も合わさず返事もしなかった。不思議そうな顔をするリッちゃん。 「ああ、ミコトはしゃべれんと。でも耳は聞こえるけん。みんな優しくしてやってな!」 「しゃべれんと?」 「んんー」  返事をするナオちゃん。〈んんー〉は〈うん〉が訛ったものらしい。おばあちゃんもときどき使うので、優しい相槌を打つんだなあといつも思っていた。私はおばあちゃんの前でもほとんど話すことができなかった。 「全然しゃべれんと?耳は両方聞こえとるやんね?」  レンと紹介された男の子の声は落ち着いていて、口調もゆっくりで方言でも聞き取りやすかった。六年生らしいが中学生くらいの風格がある。  私はレンくんの方を向いて両耳を指さし、二回うなづいた。 「ふーん、そうなんや」  レンくんはふんわりと笑った。このときから彼の目尻の皺は変わらない。 「今日は手始めにどこに行こうか?」  ナオちゃんは私を見て言った。首をかしげる私。
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