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貧乏神は、踊るたびに液体をまき散らした。
しかし、すごく上手にダンスをする。
僕はしばらく踊らせておいた。
さてさてうちから貧乏神に出ていってもらうには、どうしたら良いのか。
「わしは出ていかないよ。」
「何で家にこだわるんだよ。
他の家じゃだめなの。」
「ダメだ。このうちじゃなきゃダメだ。」
どうも僕のお母さんに問題があるようなのだ。
とにかく、貧乏である自分が好きで、自慢をしてる彼女に貧乏神はついているらしいのだ。
「好きじゃなくてつらいんだと思うよ。
学費とかかかるし、ご飯食べれなくなったらどうしようとか。主婦だったら当たり前に悩む事だと思うんだが。」
僕は良いことを思いついた。
貧乏神だって、神様であることには変わりがない。
ならば、風呂に入れてきれいにしてみたら良いのではないか。
僕は、貧乏神を風呂に入れた。
パンで誘導し、風呂につけて石鹸で身体を洗った。
ふやけた皮膚から液体が取れだすと、ボロボロ垢みたいな物がこぼれ出した。僕はお母さんが使っているたわしの新しいものを使い、ゴシゴシした。
すると、きれいな緑の鱗みたいな服を着たイケメンの顔が、見えてきた。
貧乏神は、イケメンだ。
「何でいつもきれいにしていないの。」
「貧乏神だからね、きれいだとわかってもらえないから。」
少し照れていた。
「ねぇ、ダンス上手だし芸能人になってみたら。
そしたら何も僕らと一緒にいなくても良いし。」
「誰にも見えないから、それは無理だよ。
たぶん僕を消すためには、ワラシちゃんを連れてこないとね。」
「ワラシって座敷わらし。」
「そう。あの子は、家を豊かにしてくれるから。
だけど、呼ぶのは難しいと思うよ。」
すっかりキャラまで爽やかになった貧乏神の話では、座敷わらしは、うちの近くの神社にいて神社から連れてくるためには工夫が必要らしい。
何だか僕はとんでもないことに巻き込まれそうで、
ドキドキした。
とりあえず、このお風呂の大惨事をどうしようかな。
僕は途方にくれていた。
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