貧乏神は満たされない。

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僕はお風呂をきれいにした。 母さんは、きれいになったお風呂で鼻唄を歌っている。 僕は明日のゴールデンウィークに、神社に行くことにした。 いちごのケーキを持って。 神社は、うちから5分のところにあり、季節の樹々がきれいだ。階段が正面にあるが、20段ぐらいだ。上がり終えると、お賽銭箱があり黒のお社がある。 僕はまずお参りをして、お社に向かい声をかけた。 「あの、ワラシさん。ケーキ買ってきたのですが一緒に食べませんか。」 回答なし。 「あの。ワラシさんいますか。」 空から人が振ってきた。 僕はびっくりして固まった。 心臓飛び出たらどうしよう。 「ケーキ食べるよ。」 ワラシさんは、子どもだと思っていたが、目の前にいるワラシさんは、高校生くらいの女の子の姿をしていた。貧乏神と同じような年代だ。 ワラシさんと僕は神社にあるベンチに座り、ケーキを食べた。 ケーキは甘くておいしかった。 ワラシさんは、ニコニコと食べていた。 「で、あなたは私に何か用事があるのかしら。」 僕は貧乏神が住んでいて困っていること、その貧乏神がうちから出ていく条件がワラシさんであると伝えて、助けてほしいと言った。 「やだ。」 「え。」 「私貧乏神タイプじゃないからヤダ。 大黒は良いけど、貧乏神は嫌だ。」 どうしたら良いのだ。大黒って、大黒様なんて言わないよね。 「あっ、神様の大黒様では、ないよ。そば屋の大黒弘樹。2丁目のね。弘樹大好き。」 そば屋の大黒ね。 ざるそばがおいしくていつも混んでいるあの店だ。 弘樹って人がいるんだね、きっと。 「あんた弘樹のところに私を連れて行ってくれる。」 「今は無理だよ。お金ないし。」 「お金は私持っているの。私は一人で行くのがはずかしいからあなたについてきてと言っているわけだ。もし、ついてきてくれたら、行くよあんたのうち。」 何だか変な方向に話が進んでいく予感がした。 僕はワラシさんとそば屋に向かうことになった。
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