貧乏神は満たされない。

8/9
前へ
/9ページ
次へ
翌日から僕は家中を片付けることになる。 ワラシさんが、お母さんに乗り移りあれこれ僕に指示を出していく。 家が、少しずつきれいになるにつれて気持ちもスッキリしていく。貧乏な割にはたくさんものがあるもので一部屋片付けるとごみ袋3つ分くらいゴミが出る。 約5日かけてきれいにした自宅はピカピカになった。毎週休日が掃除になり辛かったが、その価値があるくらいの出来栄えだ。 最後にワラシさんは、呪文を唱えた。 「うん。これであんたのうちも良くなるだろう。 長年のゴミが貧乏神を呼んでしまったのかもね。 じゃあ私は行くね。」 「待って。これ、母さんに頼んで作ってもらったいちごケーキ。食べて。」 「ありがとう。」 ワラシさんは、ケーキを持って帰って行った。 「や〜。当たったー。」 お母さんの声だ。 「どうしたの。」 「スクラッチくじに当たったのよ。 1万円よ。今日は夕飯カツにでもしようかしら。」 母さんが上機嫌で笑うのは良いことだ。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加