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マキちゃんや空也に姫華ちゃんの3人は何も言わないけれど、各々がそれぞれの悩みや葛藤を抱えて生活しているのだと感じた。
俺はギュッと膝の上で握り拳を握り締め
「あの……、俺で何か出来るなら協力するので!」
そう叫ぶと、空也が待っていましたとばかりに
「それなら、俺に抱」
『ガツッ!』
俺の背後に立ち上がった空也の腹に、肘を思いっきり食らわせて黙らせた。
「却下!」
「何でだよ! 何か出来るなら協力するんだろう!」
お腹を抱えて蹲る空也に
「それ以外でな」
と答えた。
「じゃあ、姫華と付き合って!」
「却下」
「え~!何で?合法なら、罪にならないよ」
「いや、そういう問題じゃないから!」
俺の回答に、姫華ちゃんが頬を膨らませる。
「大体さ、青ちゃんは頭が固すぎるんだよ!」
「本当にな~」
我妻兄妹が、わざと聞こえよがしに言っているのを無視していると
「とにかくあんたは桜子他、五道家の人間に気をつける事!分かった?」
とマキちゃんに顔を近付けられて念を押された。
「わ……分かった」
コクコクと頷くと、マキちゃんは深い溜め息を吐いて
「本当に分かってるのかしら? 言っておくけど、あいつ等は空也や姫華みたいに大人しくは引き下がらないからね!」
そう言われて、『空也は、大人しく引き下がってはいないと思う』という言葉を飲み込んだ。
今、下手な事を言ったら、余計に面倒くさくなりそうだ。
そう思いながら、苦笑いを浮かべるだけに留めていた。
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