部屋と空也と俺

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「あっ……あっ……」 胸を空也の綺麗な指先で撫でられながら、下半身を刺激されて声が抑えられない。 すると身体を倒されて、バックの体勢で激しく腰を動かし始めた。 「脚……しっかり閉じておけよ」 腰を掴み、容赦ない腰の動きをしながら空也が呟いた。 俺は枕に顔を埋め、口から漏れる喘ぎ声を抑えながら頷いた。 「青夜……もう……」 切羽詰まった声に頷くと、空也の手が俺自身と空也自身を握りしめて激しく扱き始めた。 明るい爽やかな朝の空気とは裏腹に、俺の部屋には湿った水音と空也の荒い呼吸音。そしてくぐもった俺の声だけが聞こえる。 俺を追い上げるように緩急付けて扱かれて、俺も限界が近付いていた。 「青夜……もう……っ、出る!」 「あっ……俺も……っ、うあっ!」 空也の切羽詰まった声に促されるように俺が欲望を吐き出すと、俺を刺激していた空也の手が離れて俺の双丘を片手で割開き、俺の秘部に向かって射精しやがった。 そして吐き出した空也の先端を、俺の最奥の場所に擦り付けるのだ。 ゆっくりと空也を見上げると、前髪をかき上げながら俺の最奥の場所を見つめて舌なめずりすると 「マーキング完了」 と呟いた。  そう、この行為は空也のマーキング行為なんだそうだ。 これをさせないと、空也は俺を背後から抱き締めたまま離してくれない。 本当は最後までしたいらしいけど、俺の譲歩出来るのはここまでだ。  言っておくが、譲歩とは言っても……だ、最初は抜き合いの約束だったんだ。 それが段々と空也の要求が激しくなり、今やこれが毎朝の儀式になってしまっている。  俺がぐったりしていると、空也は身支度を整えて部屋を出て行くと、洗面器にお湯を入れて部屋に戻って来た。 俺の下半身を綺麗にすると、毎回、俺の臀にキスを落として 「さっさと俺の恋人になれば良いのに……」 そう呟くのだ。 「お前なぁ……これだけ譲歩してやってるんだから、文句言うな!」 俺が睨み上げると 「ここまでやってたら、もう挿入()れても変わらなくないか?」 と、空也が首を傾げて呟いた。 「はぁ? 全然違うわ!どあほう」 枕を投げ付けて叫ぶ俺に 「前から思ってたんだけどさ……」 と、空也が真顔で呟くもんだから、『何だろう?』と真剣に空也の顔を見ると 「青夜って顔は女顔なのに、口悪いよな」 なんて言いやがった。 その瞬間、俺の堪忍袋の緒が切れた。 「女顔は余計だし、俺は男だ!口が悪くて悪かったな!」 そう叫んだ俺に、空也は『クックック』っと喉で笑うと 「すぐにそうやってムキになるから、5つも歳上って感じがしないし」 とか言いやがった。 「うるせぇ! バカにするな!」 怒って叫んだ俺に 「え?バカになんかしていないよ。俺の恋人は可愛いなぁ~って、噛み締めてる」 そう言うと、俺の額にキスを落とした。 俺はその言葉とキスに真っ赤になってしまい、慌てて 「恋人じゃねぇし、可愛い言うなー!」 と叫んで誤魔化した。 そんな俺に、空也は楽しそうに声を上げて笑い出した。 空也は最近、よく笑うようになった。 不思議なんだけど、俺は最近、空也とのこういう関係が嫌じゃなくなっている。 むしろ、二人だけの時に見せてくれる空也の表情に、幸せを噛み締めてしまう自分に戸惑っていた。
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