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地獄の役人達の思惑
霊后。それは閻魔の妻。人として生きている内に一つも悪事を働かず、死すれば全人類が涙を流すような聖女。そんな魂が死後の世界で地位を得る――なんて常識は、遥か昔に消滅しました。
今となっては、悪事を一つも働かない聖女なんておりません。嘘もダメ、困っている人がいたら必ず助けなければいけない。それは例え誰かを守るためのものだとしても嘘はつけないわけで。自分が空腹でも、傍に飢餓状態の人がいたらその人に自分の食糧を渡さなければいけないわけで。
傍若無人な閻魔を御せる者はおらず。ほとほと困り果てる地獄の役人達の前に、死んだことすら理解できていない様子の魂が現れた。頷き合う役人達は、その魂に霊后の位を与えた。
霊后は、忙しい。魂の裁判を滞らす閻魔の代わりに魂を管理する。仕事をさぼりまくる閻魔の尻を叩く。魂達の暇つぶしに話を永遠と聞く。
魂は、毎日大量にやってくる。とてもじゃないが、一人でできる仕事量じゃない。
真面目に仕事をしていたら、閻魔が霊后に興味を持ったようで――。
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