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「所長!!何で担当変わったらダメなんですか!?」 翌日、所長に担当変更の話をすると即却下された。 「見れば分かるだろ、今うちの事務所はめちゃくちゃ忙しい。 新しい人を募集してるから入ってきたら変わってもいいから。」 「それじゃあ意味ないですから!! あんまり難しくない顧問先ですし、他の先生達も大丈夫ですよ!!」 デスクで忙しそうに仕事をしている所長に言うと、所長が小さく吹き出した。 「だからカヤを担当につけたんだろ。 法人ならまだしも個人の案件だしな。 簿記の資格しかないお前でも主担当になれるだろ。」 「それはそうだと思いますけど・・・。」 渋る私を所長がチラッと見てきた。 「あの客の親御さんに良くして貰ってるんだよ。 独立した俺に客を紹介しまくってくれてて。 だからこれだけ忙しくなってるのも事実だけどな。」 「その息子さんが担当を変えてくれって言ってきたんですよ?」 「同じ高校出身なんだろ? お前この前そう言って嬉しそうにしてただろ。」 「でも、向こうは変えて欲しいそうです。 高校の時に最後に少し色々あって・・・」 「なんだよ、告ったのか?」 所長にそう言われそれには無言になる。 そんな私を所長が驚いた顔をして資料から視線を上げた。 「ダメだったのか?」 「はい・・・。」 「お前が?」 「はい・・・。」 「カヤがダメなことなんてあるのか・・・?」 そう聞かれてしまって、それには泣きそうになった。 泣きそうになっている私に所長は焦った顔をして、そして小声で言ってきた。 「お前、色んな未来が分かるだろ? それでも告ったのかよ?」
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