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その日の夜、広い我が家の廊下を歩き扉の前に立つ。 そして迷わずにお姉ちゃんの部屋の扉をノックした。 「はい。」 低い男の人の返事が聞こえてきて私は扉を開けた。 お姉ちゃんはベッドで寝ていて、お姉ちゃんの彼氏である元気君がデスクでノートパソコンをしている。 「相談があるんだけど。」 「誰に?」 「元気君に。」 「誰が?」 「私が。」 「・・・いやいやいや、カヤちゃんが俺に相談とかないっしょ!!」 そんな返事をしながら爆笑していて、それに釣られて私も笑ってしまった。 「恋愛相談。」 「それこそないっしょ!! 知ってると思うけど俺何もアドバイス出来ないから!!」 お姉ちゃんと普通ではない恋愛をした元気君が爆笑し続けていて、私も笑いながらお姉ちゃんの部屋に入った。 「俺の部屋でする? 美鼓ちゃん寝てるし。」 一部屋を間借りしてこの家に一緒に住んでいる元気君が、寝ているお姉ちゃんのことを優しい顔で見下ろしている。 「お姉ちゃんが不安になったら可哀想だからここで。 元気君爆笑しないでよ?」 「マジか・・・我慢出来るかな・・・。」 そんなことを真顔で言ってきて、それには私の方が大笑いしそうになる。 楽しい気持ちになったその勢いのまま元気君に言った。 「私の好きな人には、他に好きな女の子がいるの。」
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