7人が本棚に入れています
本棚に追加
*
放課後となり、僕たちが帰ろうとしていると、美桜の席の前に、誰かが立っていた。松倉紫音だった。
「これ、あんたが欲しがってたやつでしょー」
松倉の声が聞こえて、僕は自分の席から松倉の持つ「何か」を目で追った。それが何か分かった瞬間、僕は「あっ!」と声を出してしまった。
松倉がこちらへ振り向いた。美桜も僕を見ていた。
松倉の手に握られていたのは「キャロル イン ラビリンス」のシークレット・レインの聖騎士バージョンだった。美桜が追い求めていたものだった。
松倉はフンと鼻を鳴らして、美桜に向き直る。
「そこら中のチョコエッグを買い漁ったら出てきたの。あんたもこれ狙ってたんでしょ?」
その言葉を聞いた瞬間、僕の頭の中には昨日スーパーにいた男が浮かんだ。あれは、あの人は、松倉の父親だったのかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!