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「なに? 修二には関係ないでしょ?」
松倉は僕より身長が10センチ以上高い。なんだか見下ろされている気分だけど怯んでいる場合じゃない。
「そうだな、関係ないな」
「じゃあ、口出ししてこないで……」
「美桜とオレは、オマエみたいに買い占めする奴となんて関係ない」
僕は松倉の言葉を遮った。
「は? どういう意味?」
松倉の眉間に皺が寄った。明らかに機嫌の悪い顔だ。
「オレも美桜も1個1個買って、その中でシークレットが出ないかを楽しんでんの。まとめて買って当たったって嬉しくないんだ」
「当たれば……一緒でしょ?」
「違うよ」
「意味わかんないし!」
「わからなくていいよ。松倉が何をどうしようがいいけど」
「いいけど……何?」
「そーいうのオレは好きじゃない」
「んな……」
松倉が何かまだ言おうとしているような気がしたけど、今日はもう松倉と話したくなかった。
「美桜」
「え」
「帰ろう」
「え、あ、うん……」
たぶん美桜は戸惑っていたけど、僕は早く美桜を教室から出してあげたかった。
口を開けたまま何か言おうとしている松倉を放っておいて、僕は男子の友達にちょっとだけ声をかけて、美桜と教室を出た。
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