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006
「今までどの国においても、誰も何も思わなかったのですか? 抵抗もせずに、ただ差し出すだけで疑問にも思われなかったのですか」
「それは、そうだが」
「そうだがではありません。かの王に全てを支配させるおつもりなのですか?」
「……」
「あの王が大きな顔をする要因は、それに屈してきた者たちしかいなかったとのことですよ。このままでは、あの国の言い様にされるだけです」
「ではどうしろと言うのだ」
「それを考えるのは、お父様は他の諸外国の王たちの役目ではなのですか?」
私一人の問題ではない。
すでに人質とも言える妃たちが12人もいるのに、誰も手を打たないなんて。
このまま実質的な支配のようなものが広がっていけば、もうこれはうちのような小国だけの問題ではないはず。
いずれその力は他国との影響ともなる。
今は私を差し出すことでどうにかなったとしても、結局将来的に自分たちの首を絞めて行くのに。
どうしてそんなことも分からないのかしら。
「でも拒否すればこの国は滅ぼされるのだぞ?」
「そうは申してはいないではないですか。私を差し出しただけで終わるとお思いですか? きっとあの王は私をダシにしてこの国の国政にも口を出してくるでしょう」
そしておそらく、私を溺愛している父はきっと断れない。
そうしてうちの国や他の国にも、その影響力を増やしていく未来しかないじゃないの。
「今はそこで黙っている大臣たちも、娘をと言われる日が来るのですからね」
私の言葉で集まった大臣たちはハッとするように、顔を更に青くさせた。
「私はこの身可愛さに申しているわけではありません。この先の未来のために言ってるんです!」
そうは言っても、自分の身はかわいいけどね。
こんな形で、不幸せになるとか絶対に嫌だし。
二回目の人生……それも一回目が散々過ぎたんだから、私は幸せになりたいの!
諦めるのとか、あんなに惨めになるのはもう懲り懲りなのよ。
「だが、どうしろと……」
「今回はこのまま向こうの要求通り、結婚をいたしましょう。その先のことは私が自分でどうにかいたします。しかしこの先のことは必ず、他の諸外国の方とご協力をなさってください」
ここまで煽れば、打倒を目指してくれるんじゃないいかな。
王女としては泣く泣くのが可愛げがあっただろうけど、元の性格上そうはならないから仕方ないわよね。
しかも王女の仮面のまま過ごせるほどの事柄でもないし。
私が言いたい放題なことに若干みんな引いてはいるけど、今の私にはそんなことを気にするような心など微塵もなかった。
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