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 高く取った天窓からは柔らかな光が降り注いでいた。  私はその光を仰ぎ見ながら、湯船に浸かり込む。  湯船からは私が入った分のお湯が溢れ出し、浮かべられた花びらが下へと落ちた。  私を囲む侍女たちはそんなことに気を取られる様子もなく、私が伸ばした腕にマッサージをし出す。  自分で言うのもなんだけど、白魚のような手は何の苦労も知らない。  ナイフとフォーク以外の重いものなんて、持ったこともないんだもの。  侍女たちはその手を優しく、そして慈しむように磨き上げてくれる。  思わず『あ゛あ゛あ゛』と出そうになる声を必死に抑えた。  そんな声を出せば、完璧な王女と言われる私の名に傷がついてしまうもの。 「ああ、今日も王女様はお美しいわ」 「ふふふ。ありがとう。みんなのおかげよ」 「そんな。王女様がお美しいのは、もう生まれ持ってのものですわ」 「そうかしら」 「そうですよ。ああ、本当にお綺麗だわ。こんなにお綺麗でお優しい王女様にお仕え出来て幸せです」 「もう、おおげさねぇ」  侍女が私の細く柔らかく伸びた金の髪を、洗い流していく。  自分で何もしなくても、ココでは本当に至れり尽くせり。こんな幸せがあってもいいのかしら。  美人って本当に得ね。ああ、でもただの美人じゃなくて、この国で誰よりも愛される王女様だからかな。  本当に良かったと思うわ。  あんなどん底の中で死んだ時は、神様を恨みまくったけど。  これならプラスマイナス以上の話だし。  私はこの王女となる前のことを、ぼーっとする頭で考えていた。
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