それでもオチを付けてくる

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 今日はもうさっきの現場には近寄りたくなかった。でも、まさみさんの車はさっきの現場へと向かっている。とはいえ市役所へ戻るには国道を通過するのが最も早いのだからそれは仕方のない事だった。  と思っていたのだけれど。  なんとまさみさんはあろうことか、さっきの現場の歩道に車を乗り入れ停車したのだ。何か忘れものでもしたのだろうか。あるいは他にも見落としがあったのだろうか。私は逡巡しながらも恐る恐るそれに倣うように車を寄せた。  しかし、車から降りてきたまさみさんは開口一番こう言い放った。 「あら、先に帰ってくれても良かったのに。あ、まさかゆきこさんもこれに気付いていたのかしら」  そう言いながら歩み寄っていったその先にあったのは、見たこともないような模様に見たこともないようなメーカーの商品がずらりと並んだ自動販売機だった。 「今どき五十円の自販機って珍しいわよね」  言われてみれば確かにそこには自販機があった。そしてそれは市役所に送信した画像の右端に確かにかろうじて写り込んでいた。 「おまけにこんなものまであったら‥‥‥ねえ」  まさみさんは自販機の脇でしゃがむとソコに右手を伸ばした。
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