国道と市道

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国道と市道

 現場に着いた私は、いつものようにタブレットで現場を撮影すると画像を環境課のPCに送信した。  車のトランクを開け、ビニール袋とゴム手袋を手にしたその時、突然スマホが鳴った。おそらく画像を確認した職員さんからの折り返しの電話だろう。ゴム手袋をつける前でよかったなどと思いながら電話に出る。 「もしも‥‥‥」 「ゆきこさん、まだ手を付けてないでしょうね」 「え?まさみ‥‥‥さん?」  どうやら私が出発するのと入れ替えに、まさみさんたちの会議が終わったようだった。それで画像を確認したまさみさんが電話してきたのだ。 「画像を確認したけど、手を付けないでそのままそこで待機していて。私もこれからそちらへ向かいます」 「え?どうして‥‥‥」  最後まで言わせてもらえずに電話は切られてしまった。まさみさんはこういう事が多い。理由を教えてくれずに一方的に電話を切ってしまう。世の中のエリートってみんなこうなんだろうか。まあほとんどの場合まさみさんが焦っているか慌てている場合だったりするので、そのエリートの裏の顔が見れたりするんだけど。
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