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国道、県道、市道を問わず、ここ数年で道路環境は非常に良くなっている。特に最近では歩道の整備が過剰ともいえるほどで、歩道上に大型トラックを停めていても歩行者の妨げにならないほどに広い。
でも私は歩行者というものを殆ど見かけないから、どうしてこんなに歩道を整備しているのか良く分からないでいる。もしかして市の予算の使い道が他にないのだろうか。
車道と歩道の境目が明確だと停め難い気持ちにもなるが、ここは一応国道で時折大型車両も通るので、一旦歩道に車を乗り入れてまさみさんを待つ事にした。
待つこと十五分、まさみさんの車が私の車の前に付けて止まった。その後ろに付けていた黄色い中型車両もそれに倣うかのようにそのまま車道でハザードを点滅させながら止まる。
まさみさんは車から降りると私にではなく何故かその黄色い車両の運転席に向かっていった。そこで何やら言葉を交わすと、ようやく私の方へと歩み寄ってきた。
時折見かけるその黄色い車両には『国土交通省・道路パトロールカー』の文字が入っている。
「待たせたわねゆきこさん」
そう言ってからまさみさんは私に今回の件の説明をしてくれた。
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