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弟のように可愛がっていたおとなりさんのおとなりさん。水野くんは、あたしのキャラがぶれないように下書きを書いてくれる。
「トレンドになったのは、やよいの娘」
「やっぱり、高いな抜く背中は」
青い鳥を押して、水野くんが書いてくれた下書きを目で追っていく。画面にうっすら映る黒目が大きい瞳に、カラーコンタクトいらずで羨ましいと妬まれたっけ?
【ひるだよ見てくれた皆様。
ビックリしたぁ?ごめんごめんね(ノ_<。)新たな役に挑戦したかっただけなの~】
いいねとリツイートが増えてる。やよいの娘としてあたしが検索されたからか、フォロワーは一気に万を越えている。
「無駄な抵抗はやめたら?」
「反抗してるのは水野くんもじゃん!!」
お互い子供なのに、大人と話している感覚はずっとだ。幼い頃から、大人に囲まれたら、こんな風に落ち着くのかな?
「諦めたような目なんて早いよ」
水野くんの瞳がくすんだのはいつから?あたしはお姉ちゃんのつもりで接してるのに、ウザいと離れていくのは仕方ないよ。
「声変わりしたら、終わるんだ」
「あたし親の七光りなんて言われないほど、有名になるからさ、そうしたら、昔みたいに笑ってよ?」
エレベーターが開き、小さな黒い背中が先に箱から出ていく。黒のフーディから、こちらを振り向く瞳は、まだ諦めの色を見せている。水野くんきみだって、決めつけてるね?
「いつになることやら」
低い声が愛らしい童顔に似合わない。お互い強いギャップがあるのに、それを活かせないね。
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