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1-bスポットライト
子役の条件に満たすように、僕は幼い頃から食べるものも作法もすべて、キツいくらい母と一緒にいる。
ノックのあとに部屋の入り口に立つ母が、嬉しそうな声で話している。
「裕太、やよいさんの娘さん昼の番組に出るわよ」
「やよいさんの娘さんじゃなくて、あきよ」
今の生活を作ってくれた人だから、母親兼マネージャーだから。だけど、反抗期はわかりきってることでも、溜め息が出てしまう。
「ありがとう、お母さん」
口角を上げて目尻を下げて演じている笑顔を見せる。母は満足になり部屋を出ていく。足音が遠ざかっていくのを確認して、お仕事用2台目の明世のスマホを取り出す。
『水野くんにしか頼めないのよ。頼めるかしら?』
明世の母親、やよいさんから頼まれたからだ。娘は暴走しやすいと、それは昔からの性格だからとは言わずに引き受けた。普通なら、マネージャーである春奈さんから頼まれるのだろうけど、姉妹で確執があるらしく面倒なので、そこんとこは聞いてない。
****
壁掛けのテレビをつけチャンネル番号を押すと、ドラマの制服を着た明世が、緊張ぎみな顔で映っている。
どんなこと言われても平常心で。
僕とのラインで、りって送っただろ?了解の意味の【り】なのにさ。
『母は母であたしはあたしなんで!!』
アップになる明世の長い黒髪をカールさせた前髪が映る。たれ目で、見た目がおっとりさんに見えるから、危険なんだよ。
「なに・・やってんだよ」
僕は急いで青い鳥を押して、トレンド画面を見る。ほら、ギャップ萌え狙ったって変わらないよ・・・
#やよいの娘
#鈴鹿やよい
#久住正明
#ひるだよ
#番組番宣
#クローバー48
#久住明世
明世の両親が入り、下の方にやっと明世の名前がトレンド入りする。
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