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テストDVDは思い出作りの1枚にされた。山内すばるが明世をいいように利用しただけ。荒川監督に仲良しだと印象づけたのも、彼女が所属していたアイドルグループの先輩だったからで、卒業後の彼女ではなく、クローバー48のグループとの仕事を増やすため。
有頂天になった明世と僕を鼻から嗤われた。憐れな僕らに夢を見させただけ。
ごめん、明世・・・
山内すばるのことを頼ってしまった。現役役者な彼なら見習うことが多いと指導を放棄しかけていた。
バタバタと足音がし、声をかけることなく部屋に入ってきた春奈さんは、未熟な僕らを抱き寄せて。
「悔しい、悔しいよね。いつかこの日のことは思い出だって笑いあえるようにしよう」
お互いの顔が見えなくても、肩か震えていた。怒りで悔しさで涙なんてこれっぽっちも出ない。
「春奈さん、僕も見学に行けますか?」
泣いたって進めないことはわかってる。未熟な僕らに出来ることは、間近で学ぶことしか出来ないんだから・・・
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