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 君が亡くなり三日経ったが、未だ僕は深い悲しみの底に沈んでいる。まるで世界が永遠の闇に覆われてしまったみたいだ。  何を大袈裟な、たった三日で立ち直れる方が可笑しいと人は言うだろうが、きっと何十年経ったってこの悲しみが癒えることはないに違いない。それくらい、僕にとって君は大切な存在だった。  今日は木曜日。本来は大学で2限の講義を受けているべき時間だが、さすがにまだ日常に戻る気分にはなれず、僕は自宅のベッドから起き上がれずにいた。  うつ伏せになって深呼吸をすれば、布団に染み付いた君の香りが鼻腔を満たす。安心すると同時に、いつかこの世界から君の居た痕跡が無くなってしまうのが怖くて堪らない。  ピンポーン、と間の抜けたチャイムの音がした。誰だろう。大学の友人なら講義中のはずだし、怪しい勧誘か何かだろうか。  居留守を決め込もうとしていたらピンポピンポピンポーン!とソイツは激しくチャイムを連打し始めた。近所迷惑になると思い仕方なく玄関へ向かう。 「はいはい、今開けますから」  できるだけ不機嫌そうな顔を作ってドアを開けると、派手な柄物シャツを着た小柄なオッサンが立っていた。誰だ?と思う間も無く、オッサンは僕の胸に飛び込んできた。 「玄斗! また会えたー!」  酒焼けしたような汚い声で言われ僕はフリーズした。いやいや、誰だあんたは。胸にぐりぐりと擦り付けられる禿頭を見ながらぼんやり考えるが、知り合いにこんなオッサンは絶対居ない。 「あの……どちら様ですか」 「私だよ! 約束通り、生まれ変わって会いに来たの!」 「は?」  生まれ変わった? まさか……いや、嘘だろ。 「もう! なにキョトンとしてるの! 茉莉だよ、梅原茉莉!」  俺は口をぽかーんと開け、再びフリーズするしかなかった。
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