封じている想い明らかにとね

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 恋と言うものを私は知らないのかもしれない。そんな事を思ったのはごく最近だ。離婚になったからではない。  昔っから思っていた訳でもない。普通に恋愛の道を通っていたのだと思っていた。それは間違い。  これまでの自分はかなり私を知らなかったんだと思う。そうじゃないと言い訳が付かない。呆れるよ。 「今どうなんよ」  地元に戻って親友と話している。暇な時間が訪れたのは良いことでもあった。喫茶店でお喋りに興じることも有る。 「どういう意味? こっちに戻ったこと? それとも離婚?」 「うーん、興味があるのは離婚の方かな」  正直な人だ。お茶目な顔をして話しているが、聞きにくいことを簡単に話している。  それでも彼女は私の親友。こんな話だって簡単に話してしまう間柄なのだった。 「私は捨てられたからね。だけど、案外悪くないかも」  事実、離婚の原因は元夫の浮気だった。そして残念ながら元夫は私ではなくて新しい彼女を選んだ。元夫は私を捨てたのだ。 「そんなもんなのかいね」 「離婚してみないと解んないじゃない?」 「申し訳ないが、あたしんとこは夫婦円満だからねー」  のんきに語っている親友だが、実際彼女のところは問題はなさそう。子供も居て、今度家を建てるらしい。絵に描いたような順風満帆な家庭。 「別に私だって夫婦険悪だった訳じゃないよ。普通に仲が良いと思ってたし、愛してくれてるもんだとばかり」  ちょっと言葉を濁らせて終わってしまう。元夫の彼は愛してると言うことを私に投げてくれていた。しかし、それは元夫には簡単な言葉でしかなかったみたい。とても軽く他でも語っていたのだろう。 「それはご愁傷様。その男は徹底的に憎んでも良い!」 「そんな事ないって。捨てられたけど、悔しくないんだ。なんか、そうなんだって納得してる」  この私の言葉で親友の目つきがそれまでと違った。鋭くまるで殺し屋のようになっている。別に恐ろしい訳ではないが怯む。 「良くない。それはマズいよ。ふつー、こんな時は二度と顔も見たくないって思うもんだよ。それを平穏そうに語っちゃって」 「離婚したこともない子がなんて言うの? 憎んでる相手居ないでしょ?」  まあ、彼女の目つきなんて気にしない。こんなのは昔っからなのだから。真剣という事でもあるんだ。 「居るよー。掃いて捨てるほどに。これまで付き合ってヒドイ別れ方の彼氏なんて、姿見たら逃げるし」  ニコッと笑っているが冗談ではなさそう。彼女の言葉は結構強い。真実味が表されている。 「そんなもんなのかな。私は付き合った人も居ないし」  本当のことだ。私は恋愛としても片思い程度で付き合った実際に彼氏と言えば元夫くらい。偏差値は低いんだ。自分悲観するくらいに。 「んー、じゃあ。これから。次の恋に走りましょー!」  親友は明るく言葉も弾んでいた。私を元気づけるように。こんなところが嬉しい。 「それは。遠慮しとこうかな。私には恋愛は向いてないから」  ふうとため息しかない。 「悪いんよ」  若干強い言葉が雰囲気親友の方から正すみたいに有る。真っ直ぐに親友は私を睨むように見ていた。強くとね。  私はちょっと首を傾げる。 「恋愛を諦めるなんてダメだって。まだ若いんだから。それに今までも恋愛を進んでなかったのなら、これからだよ」  テーブルを叩くみたいに彼女が話していた。 「お勧めするのはありがたいけど。やっぱり私には合ってないと思うんだ」 「取り合えずそんなことを考えないように。まずは好きな人を探してみよう!」  ちょっと楽しそうになった親友がいる。単に自分の暇つぶしではないのかと思ってしまう。しかし、そんなに楽観的でもないのも知ってるから、一応真剣なんだろう。真面目なんだ。 「だけど、好きになった人も少ないしなー」
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