封じている想い明らかにとね

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 ちゃんと風邪が治った頃に彼から連絡が有った。迷わないでオッケーの返事で返す。勝負にもなる。休診日に彼と会ったのは二人が学校以上に良く通った本屋だった。こんな共通点も有った。忘れていたのかもしれない。 「よし。ちゃんと熱は下がってるな」  会うなり彼は私のおでこに手を当てニコッと笑う。 「そりゃあ、お医者さんが良かったんでしょ」  照れを表さないように私も笑い話に花を咲かせた。  だけど、ちゃんとこれまでのことも話さないと。私の離婚のことも。  二人で近くの自販機の前で話し込む。今日は暖かな天気で心まで穏やかだった。 「君が結婚だけで驚くのに、離婚とはね」  一応近況として私が伝えると、彼は納得した表情になっている。 「呆れるね」  軽くこんなの語るとて怖い。彼に笑われるんじゃないだろうか。 「頑張ったんだね」  だけど怖がって俯いている私を見ると彼は全く違った言葉を放った。  それでキョトンと彼を見てしまう。 「離婚は結果だけど、君が悪い訳じゃないないでしょ。だから顔を挙げなよ」 「不思議な人」  そんな風には思ってない。彼ならこの発言も納得。それは昔を知っているから。普通の人とは違うところを。 「笑っていたほうが綺麗だよ」  ふと彼の昔っからの雰囲気に微笑んだ私を見て、彼がニコッとなっていた。  流石に今の言葉には真っ直ぐに彼を見れない。だけど、進まなければ。タマゴは割れていたのだから。 「今からおかしなことを言うから、笑っても良いよ」 「うん? どんなこと?」  意を決して私は立ち上がって彼に向かった。ちょっと彼は怪訝な顔になっている。 「君のことが好き」  弱くしか言えなかった言葉は彼には届いた。  笑わなかったけど、真剣な顔をして「うーん」と唸っている。こんな風になると困るから、笑うように勧めたのに。 「困ったな」  彼のつぶやきに「忘れて! 今のは無し!」と私が慌てた。  だけど、彼はとても落ち着いていた。 「それは僕の方から言いたかったな」  急転直下な返答に私は次の言葉が見付からない。 「俺も君に会ってとても素敵な人だと再び思ったんだ。じゃないと知り合いだからって患者に声はかけないよ」  若干彼は照れくさそうに笑っていた。 「じゃあ、そうなると」  訳が解らなくなっている私がいた。 「付き合おうかと聞いたら」  若干疑問符を含めたそれ聞いたのなら浮かれてる。 おわり
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