龍の御子バイロン

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「この敷地はあの子が作った結界が張ってあるのよ、魔族には見えないないようになっているんですって」  何度も聞いた話だが、ミセス・ペンベルトンはバイロンの施した結界をサラリと説明してくれた、この結界ですら王都を守る結界の数倍の魔力を必要とする、ここはバイロン様にとって王都よりも大切な場所なのだ、そんなに大切な人を残して居なくなったりするわけがない。 「奥様!奥様!」  強い確信と妙な安心感が生まれ、ふっと一息ついた時、若い男が慌てた様子で駆けてきた。 「どうしたのマシュー?」 「バイロン様がお戻りになられました!」 「えっ!?」  てっきり転移魔法で現れると思っていたのに、近くの村から続く道を歩いて来ていると言うのだ。 「クレアさん、貴女はココで待っていて頂戴」 「えっ?は…はい」  ミセス・ペンべルトンを始め、屋敷の者達がワラワラと正門に向かって行くが、中庭のベンチで待つように言われたクレアは今すぐにでも走り出したい衝動に駆られながらも、前髪をいじってみたり、腰掛けたり立ち上がったりを繰り返すのだった。 「お帰りなさいませバイロン様!」  屋敷のメイド達や執事らが一斉に声を張る。 「あぁ…やっぱり生きていたのね」  だけど何で待つように言ったのかしら?
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