奥書

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 究極な切ないを表現出来そうだから、安易に死刑囚に手を出したのは、迂闊でした。  死ネタが忌避されやすい、特殊ジャンルなんだというのがやっとうっすら解った気がする。  透にこころを寄せて頂くほどに、私は鬼なのか? と笑、こちらもしんどいものがありました。  しかし、これだけは言いたいというかの、テーマがあって。  偉そうに死生観かざす訳じゃなく、頭の悪いひとの独り言と捉えて欲しいんですけど。  『死』という選択というか、道を辿ってしまうことは、そんなに駄目な、残念無念、悲しい、あからさまな言い方すれば負け犬で、不幸なことなのか?  当たり前です。そりゃ生きて、つらくても、正しいとか明るいとかの道を進むことの方が何倍も強くて、偉いし、幸せだし、 自分が嫌だとしてもひとのために生きることが自分の存在意義になる、結果的に自分にも返ってくるかも知れないし、そりゃそうすることの方がよっぽど良いことだってのは、解ってるんですけど。  でもそうなれなかったひとは、じゃあ駄目なのかっていう。  どうしようもなかったり、やっぱり駄目だったり、苦しかったり、正じゃないからってそのひと個人の感情というか存在は否定したくないなというのがあって(まあ透は罪を犯してる時点で駄目ですけど)  ひとの営み上に必ずある死というものに、それほど怖れの対象にする必要はあるのかさえ思って。  何にせよなんですが、いなくなってしまう、報われない、現実には結ばれないんだけど、 極限の状態で得られる最上の幸福とか愛に、挑戦したかったんです。    『その』時の彼の立場になった夢は、計三回くらい見ました。  怖ろしかった。普通に、無理でした。  どんな徳を積んできた僧だって、多分土壇場で克服出来るもんじゃない。  ああ、あの子のことは、もう適当にすることは出来ない。  ひとに見せられないような黒い感情も、遂げられなかったことも、叶えたいことも、 全部全部徹底的に表現しようと、そういう思いで書きました。  あと創作上の悩みを、ひとより(大分)持ちやすい方かと思うんですが、まーあ本作を書いてる時もしゅっちゅう病んだというか常に病みともにありました;  何故、私はこうも、ネット上に公開していながらも広くひとに見られない、受け入れられないものしか書けないのかと。  一応、見てもらうためには、どんな工夫をすれば良いのか、推測するくらいの視野は持ってます。  BLならジャンルはバース系にするとか、更新は頻回にするとか、もっとさくさく見て貰えるように、1頁内の文字数や回りくどくない解りやすい言葉とか書き方するとか笑 当然過激表現はありにするとか(したいけどそこに行くまでだったからなあふたりは) 解っちゃいるんだけど、何か、それだと、すみませんが自分としてはつまんなくて。  見て貰えるものと、自分がやりたいことの、乖離をいつも感じていて、物凄く辛かった。  脱落した人、きっと沢山いるし、自分が力をこめればこめるだけ、意味ないんじゃないか、どうしてこんな甲斐がないことに力入れてるんだろうって、物凄く孤独でした。創作って、基本孤独を愉しめないとやってけないと思うんですけどね。  辛かったんですけど、自分はそんなもんだって、話が終盤になる頃には開き直り、 読みやすさとか読まれるものとか、外部からの影響はもう一切放棄しよう、 何もかもかなぐり捨てて、この作品のことだけ、自分の書きたいと思ったことをとことん追求することに決めました笑
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