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四・思わぬ展開
社長室に久しぶりに桜木彩奈が訪れていた。
「どう、社長の椅子は?岡田社長。」
「どうだ、似合うか?」
「社長、用件とは?」
「あの二人、もうそろそろ舞台に立たせても良いかと思ってるんだ。」
「橋本と島崎ですか?」
「そうだ。あの二人だったら必ず、トップスターになれる。
今も、あの二人は癖のある華咲と舞鶴の付き人を上手くやっている。
人間的にも、成長したと思うぞ。」
「しかし、社長。
今、あの二人を舞台に出すのは、どんな、やり方で?
普通に新人扱い?
一気にトップに持っていく?
それは、劇団員が許さないでしょうね!
それにトップは固定されて、空いたポジションは無いはずよ。」
「アメリカに修行に出すかぁ……」
「面白いわね!
アメリカ修行かぁ……
橋本が高卒の資格が取れるのは来年の四月ですよね」
「適当に言ったが、これは名案だな!」
「やっぱりね……」
若菜と茜がいない場で、二人の今後が話し合われていた。
茜は高卒資格を取り、舞鶴翼に付ききりだが、若菜は一八時より歌劇音楽学校で高卒資格の勉強中。
華咲舞も応援してくれた。
「あんた、えらいね。
私なんか、無駄な事はしないタイプだから歌劇音楽学校に行っても高卒の資格なんて取らなかったわ。
でも、今考えると学歴って必要かもね。
今の仕事を失ったら、私は何も残らないもの。
彼に、結婚を申し込まれたのよ。
返事はしなかったけど……
今、この座は誰にも渡したくないの!
私を超える人が現れるまではね!」
福岡歌劇団の事務所に思わぬ来客が来ていた。
手には沢山の、お土産を持ち事務所の女性が対応していた。
舞鶴翼と茜がタクシーから降りて来た時、茜が直ぐに気が付いた。
「あっ……お父さん。」
茜の父が走って舞鶴翼に、お土産を地面置き握手をして来た。
舞鶴翼は、咄嗟に手を引いた。
父は、スーツで手を拭き再度、握手を求めて舞鶴翼は渋々握手をした。
「初めまして。茜の父です。
娘が大変、お世話になってます。
つまらない物ですが……」と、地面に置いていた、お土産を舞鶴翼に差し出した。
「も、もらう事は出来ませんので事務所の方に差し上げて下さい。」
舞鶴翼は手を震わせ、小走りで立ち去ろうとした時、社長室から岡田社長が近づいてきた。
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