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「この方は?」
「茜君の、お父様だそうです。」
「そうですかぁ。
茜さんは、頑張ってますよ。
もし、宜しければ、社長室までどうぞ。」
「つまらない物ですが…」と先ほどの、お土産を岡田社長に渡し、二人は何故か話が合い二、三時間は社長室から出てこなかった。
それから、ちょくちょく福岡歌劇団に茜の父は訪れるようになった。
「お母さん、お父さんに事務所に来る事をやめさせて!
舞鶴さんも気持ち悪そうに見るのよ。」
「実はね、茜、お父さんリストラになって仕事クビになったのよ……
せっかく、部長まで上り詰めたのに……
今になって仕事から解放された感じで茜の事が心配になったみたいでね……
いつも茜、茜て……」
「あっ!いらっしゃい。
また、遊びに来たんだぁ。
お父さん」
「家に居ても、妻が煙たがられるもんで……
社長さんも忙しいと分かってるが、ついつい……
すみません」
「いえいえ!
私は、構いませんよ。
お父さんと話してたら楽しいからね!
ところで、お父さん、お仕事は?」
「実はですね……
リストラに遭いまして……
長年勤めて結局はクビですよ。
会社って冷たいですよ」
「そうでしたか……
それは失礼な事を聞いて…」
「でも、社長に話して、スッキリしましたわ」
「ところで、何処の会社でした?」
「古山商事です。」
「あの外資系大手の古山商事だったんですか?
じゃ、英語も、ペラペラで?」
「まぁ、多少は。
若い時は世界を飛びまくってましたわ。」
「……どうですか?
もし良ければ、うちで、もう一度、一花咲かせませんか?
マネージャーですけど……
来年、ある二人をアメリカ修行に行かせようと思っておりまして、
その二人は……
橋本と、お父さんの娘さんの島崎です」
「えっ……」
「取り敢えず娘さんには、内密にお願いしますよ。
返事は、ゆっくり考えて下さいね!」
「はっはい…。」
何も知らない二人は、忙しい日々の中、付き人や身の周りの世話、そして舞台に立つ華咲舞や舞鶴翼の芸を盗み、飲み屋の前で二人で待ってる時は、自己流にアレンジした芸を二人で練習していた。
「若菜、私達、花の力を借りるのは、辞めない?
実力で勝負したいの!」
「そうだね……
でも、実力を披露する場はあるの?
私達……」
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