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五・初舞台
若菜の高校卒業の単位取得も全て終了した。
そこには、一緒に高校卒業の単位取得を目指していた仲間達も集まり晴れて学業での卒業式が行われた。
仲間達は、すでに三年目を迎えようとしていた。
周りは、若菜を気遣い舞台の話は避けていたが、若菜の方から皆んなに話し掛けていた。
「薫、この前、ちょっとミスったでしょ」
「誰も気付かれてないと思った。
若菜、ちゃんと観てたんだ……」
「観れる時は、ちゃんと観てるよ。
あら探しでね!」
「若菜たらっ……
でも、ありがとう。」
そしてアメリカ修行の話は二人にとって突然、訪れた。
二人は福岡歌劇団の社長室に呼ばれ、そこには岡田社長と桜木彩奈、そして、その隣に茜の父、(島崎公平 五四歳)がいた。
な、何でお父さん…?
岡田社長が、ニヤけながら二人に話し出した。
「君達は、今年の四月から、アメリカ修行に行かせようと思う。
アメリカで、語学や風習を学び向こうでのエンターテイメントを盗んで来て欲しい。
そして新しい歌劇の風を日本に持って帰って貰いたい。」
「あなた達は福岡歌劇団を代表して行って貰うの。」
桜木彩奈が岡田社長を押し退けて喋りだした。
「お、おい……」
「向こうでの公演は全く予定に入れてないわ。
全て、現地で探して、そこで収入を得る事よ。
福岡歌劇団に泥を塗るような事はしないようにね!
そこで、あなた達のマネージャー島崎公平と一緒に行って貰う事にしたの!」
「島崎公平です。
あなた達のスケジュールは、私が全て管理します。
私に任せて安心して下さい。」
「えっ……
お父さんがマネージャー?」
「茜のお父さんなんですか?」
「頼もしいなぁ〜お父さん。
嫌、嫌、島崎マネージャー、二人を宜しく頼みますよ。
そして、アメリカ出発前に福岡歌劇団のファンの皆様に、二人の初披露を考えているんだ。
直ぐに練習に入れるかな?
えっと、……
三月二三日のスターオリオンにしようかな? 後、四日後だ。
君達の芸名も考えてきたんだ。
芸名は島崎茜は聖香茜(せいか あかね)
橋本若菜は、香輝若菜(こうき わかな)
下の名前はそのままだ。
いいかね?2人とも!
「え、岡田社長、また、私に相談なしに決めて……」
「良いじゃないか、私が社長だ。
俺は二人の演技が見たいんだ。」
「……。」
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