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一列に並び、中央には舞鶴翼と華咲舞、そして両隣りに若菜と茜がいた。
一斉にラインダンスが始まった。
若菜も茜も皆んなとズレる事なく、ダンスは終了し、茜から自己紹介された。
「みなさん!初めまして。
男役の聖香茜です。
初舞台で元気な何処、沢山見せるんでヨロシク!」
右手の人差し指でを突き出し、男らしく挨拶した。
続いて若菜だ。
「初めまして、香輝若菜です。
私達、二人は舞鶴さんと華咲さんの付き人として二年間、勉強して来ました。
その成果を今日、皆様に披露する日がやって来ました。
頑張りますので応援、宜しくお願いします。」
場内から、二人に沢山の拍手が舞い上がって福岡歌劇団の華麗なショーが再開した。
大人っぽいタンゴやコミカルなダンスを披露して、最後の二部は演劇。
二人は失敗する事なくやり遂げた。
しかし、歌劇音楽学校の文化祭のビデオを見たファンは二人に物足りなさを感じたファンも少なくなかった。
最後のフィナーレが終わり、舞鶴翼と華咲舞から二人に送る言葉が用意された。
「みなさん!二年間、僕の最高のパートナーだった聖香茜。
パートナーとしての別れは、辛いけど、四月から香輝若菜と聖香茜はアメリカ修行に行きます。
今日は、初舞台でしたが、残念ながら当分の間は、二人は観られません。
きっと、成長して帰って来ると思います。
茜、二年間よく頑張ったな、がんばれよ!」
茜は、出てくる涙を我慢して、観客、後ろのスポットライトを見ていた。
引き続き、華咲舞が続いた。
「この子も、私の大切なパートナーでした。
誰からも好かれる性格は、私もあなたの虜になったわ。
アメリカ修行も頑張って来て下さいね!」
舞鶴翼と華咲舞から最高のエールを貰い舞台の幕は降りた。
岡田社長も桜木彩奈も、二人の演技に納得してなかった。
「俺が知ってる二人じゃない!
どう言う事だ!
これじゃ、他の新人と変わらないぞ!」
「確かに……
無駄な二年間だったかしら……?
これから、先も……」
しかし二人は、今回の初舞台を満足していた。
何故なら、花の匂いを嗅がずにやり切った事に納得したからだ。
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