26人が本棚に入れています
本棚に追加
九・勝負の時。
小さいステージだが、二人なので十分な広さだ。
ステージには、幕はないが暗闇の中、客は待ちきれず酒を飲みながら二人のステージを待っていた。
もし、失敗したらブーイングの嵐だ。
そして準備は整った。
暗闇の中からスポットライトが二人を照らし出した。
若菜は、かすみ草の匂いを嗅ぎ、茜は薔薇の匂いを嗅いだ。
島崎がテープを流し、そして二人の日本舞踊が始まった。
初めて観る客は、最初は不思議な感じで観ていたが、次第に二人の踊りに酔いしれ始めた。
【素晴らしい……
これが日本舞踊と言うやつか?
実に美しい】
盛大な拍手で日本では、あり得ない手拍子で店の客、全員が二人に注目した。
引き続き、衣装を着替えてダンスファションになった。
いつもは大勢でするラインダンスも今は二人。
しかし、二人だけでも、迫力があった。
元気、笑顔、そして、はち切れんばかりパワーで客を魅力した。
【実に素晴らしい!二人共、全く同じ動きだ。】
そして、ラストステージは、華麗な衣装に着替えて歌とダンス。
再び暗闇の中、スポットライトが当たり、茜は真っ赤なタキシード。
若菜は白のドレスで登場すると、中島みゆきの糸の曲に乗り二人は再度、目を合わし微笑んで歌い始めた。
ここは、酒場。
いつもはガヤガヤ賑わってる店内が、二人の歌で店内は静まり、そのうち店内は大歓迎に変わった。
二人は歌って踊って店内を突き破らん勢いで全力で駆け抜けてた。
そして二人の舞台は終了した。
客は歌に酔いしれ、全員が立ち上がり、拍手が最後まで鳴り止まなかった。
【こんな所で、こんな素晴らしいショーを観れるとは思わなかった!】
そして、客は満足した笑顔で帰って行った。
最初のコメントを投稿しよう!