赤と白 2部

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    二・舞鶴翼と茜    若菜は、福岡歌劇団に立ち寄った。  そこには、一緒に卒業した仲間達の姿。  久しぶりに会う連中。 「若菜。元気だった?」  皆んな、声を掛けてはくれるが、若菜には上辺だけの付き合いに感じた。  周りの会話は、初舞台の話ばかりだ。  そして雅美がやって来た。 「若菜、久しぶり!  元気だった?  みんな、初舞台で必死なのよ。  そして、夜は夜間学校でしょ。  今は、初舞台で皆んな、まとまっているのよ。  皆んな、若菜にどうやって接したらいいか分からないと思う。」   「久しぶりって言うのに、何か皆んな冷たいよ……」  「でも、皆んなプロになろうとしてるのよ……  だから、若菜と茜の存在が怖いだけと思うわ。」  その日、若菜は雅美以外、誰とも話さなかった。  若菜は、華咲舞のいるマンションに戻ると部屋の奥のトレーニングジムで体を鍛えている華咲舞の姿があった。  自転車を漕ぎ、台本読みながら発声練習をしている。  時には、自分にキレて髪の毛を、ぐしゃぐしゃにしたり、発狂して叫んだりしている  そこには先程、見た華咲舞ではなかった。  若菜はドアの隙間から何かを感じ取った。  これがプロなんだ。  オン、オフの切り替えでこんなにも、輝いて見える。  それにどんな偉大な人でも、日々の練習をしっかり積み重ねて舞台に立ってるんだと……  しかし、若菜は、それどころではない。  お風呂の用意や洗濯、まだまだする事が山積みである。  全て、終わったのが夜中の0時過ぎ、寝具を持って来てないのでソファーで寝た。  汚すぎる!  華咲舞が寝転んでいたのでソファーを掃除するの忘れていた。  お菓子の食べカスでいっぱいだ…… 若菜も疲れからか、汚いソファーで、朝まで爆睡した。 「橋本!いつまで寝てる!  もう、六時よ!あなたは、四時には、起きてスケジュールの確認や朝食の準備、十一時が公演時間だから最低三時間前に楽屋入りしないと間に合わないの!  朝食は、いいから自分の化粧しなさい。  服は、私のを貸すわ。」 「すみません……」  華咲舞は、すでに全てを終わらせていた。  そして、若菜にコーヒーを入れてくれていた。  すでに、華咲舞のスイッチはオンに入っている。  
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