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三・それぞれの家族
「おーい!和美、最近、若菜から連絡あるのか?」
「全然、有りませんよ!
こっちから何回も電話してるけど、全然、出ないのよ。
私達より、おばあちゃんと話したいはずなのに。
おばあちゃん、若菜が出ないって分かっていても毎回、スターオリオンの公演に行くんですよ。
よく、毎回、行っても飽きない事ね!」
「いいじゃないか!趣味なんだから!
俺も、若菜が出たら写真をいっぱい撮りまくるぞ!」
「グッズ売り場でプロマイドとか売ってるから、おそらく写真撮影は駄目よ。」
「そっかぁ……」
おばあちゃんは、毎日、若菜の幸せを仏壇で、おじいちゃんにお願いしていた。
「おじいちゃん、若菜を舞台に出してちょうだい。」
若菜からの電話だった。
「お母さ〜ん!元気?おばあちゃんも元気?」
「皆んな、元気よ。お父さんもね!」
「あっ、携帯買ったんよ。
ほとんど家に帰れないから用事があったら、ここに電話して!090ーxxxxーxxxx
おばあちゃんに代わって!
おばあちゃん、元気にしてる?」
「若菜かい?
元気だよ!ちゃんと食べてるかい?
華咲舞は良くしてくれるかい?」
「うん。こき使われるけど、お陰様で掃除洗濯もやれるようになったし、料理だって、美味いって、言ってくれるんだよ。」
「若菜が料理?
信じられないわ!
それと、舞鶴翼は、カッコいいかい?」
「うん……
舞台に立つのは、まだ、先だけど頑張ってるよ!
もう、時間無いから切るね!」
「おふくろ、若菜は元気だって?」
「あぁ、元気だってよ。」
その時、茜は…
「お母さん、元気?セルラーの携帯電話、買ったの。本体0円だったから買えたのよ。」
「通話料は大丈夫? お金は有るの?
困ったら言いなさいよ。」
「うん。生活はギリギリだけど心配しないで、これでも頑張ってるから!」
「舞鶴翼さんは、良くしてくれる?」
「地獄です…。」
「電話は茜からか?」
「そうですよ。
茜、お父さんと代わるね!」
「いや、もう時間ないからいいよ。切るからね。」
何処の家も父親は、立場が弱い物なのか……?
「一回、茜の様子を見に行かないとなぁ。」
「あなたが行った方が茜は嫌がるかも知りませんよ。」
「何故だ。俺達は親子だぞ!」
「………。」
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