赤と白 2部

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そして、六月二〇日からの公演で同期、三六名の初舞台が行われる。  シリウス、ペガサス、北斗、オリオン、カシオペアに各、七名ずつ別れ毎日、五チーム日替りの一ヶ月公演が行われる。  スター、オリオンには、雅美がいた。  スター、オリオンの公演は、四日目の二四日だ。  順調に初舞台が進んで行く中、雅美達の初舞台が本日から行われる。  福岡歌劇団に入って二ヵ月半、この初舞台に向け、歌劇音楽学校以上の訓練を行って来た。  若菜と茜は、ステージの隅からしか、観る事しか出来ないが、同期の初舞台に感動しつつも、心からおめでとうと言う気持ちには、なれなかった。  ステージの幕が上がると一列に揃いラインダンス、そこには一糸乱れず、堂々とした同期の姿があった。  そして、新人の自己紹介の場所が用意されていた。  新人七名、全員、芸名が付けられていた。  雅美の芸名は姫乃飛香に決定した。   「第三六期生娘役の姫乃飛香です。  北海道出身で慣れない福岡で二年間、歌劇音楽学校で学び、晴れて福岡歌劇団に入る事が出来ました。  初舞台に向け、大変な練習を行い、やっと、ここの舞台に立てる事が事が出来ました。  今、ここの舞台にはいませんが、私の友人二人が付き人として頑張ってます。  音楽学校では、全く敵いませんでしたが、これから先、追い越されないように頑張りますので宜しくお願いします。」  観客は雅美に盛大な拍手を送った。  観客の数名のファンは、茜と若菜だと気づいた。 「あの二人、舞鶴翼と華咲舞の付き人になってるそうよ。」 「歌劇音楽学校の文化祭のビデオ見たけど、あの二人、凄かったもんね!」 「あの、二人見たかったなぁ〜。」  舞台の隅にいた若菜は、茜に、「あいつ、私達に気を使ってくれて、自分の初舞台って言うのに…」 「ありがとう。雅美さん。」  そして、雅美の初舞台は無事に終了した。 「翼、どうだった?今年の新人は?」 「まぁまぁね!目立った子もいないし、まだまだ安泰ね私達!」  
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