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プロローグ
「まもなく、学園前_」
_窓外の景色が紙芝居の如く移り変わり
アナウンスが終着点を報せる頃。
「アリス。」
チカは小さく咳払いし、アリスに向き直った。
ふいに握られた手から伝導する温もりに、アリスはハッと息を呑みチカの目を真っ直ぐに見据
える。
「ごめんね、今日まで素直になれなくて。」
車内に滞っていた人々が、怠慢な列を作りドアの前に押し寄せ始めた。
両手で握り返したアリスの手はか弱く、今にも
消えてしまいそうに儚い。
「何だか、今言わないと次は無い気がして。
また離ればなれになった時、後悔したくなかったから。」
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