プロローグ

1/49
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/49ページ

プロローグ

「まもなく、学園前_」 _窓外の景色が紙芝居の如く移り変わり アナウンスが終着点を報せる頃。 「アリス。」 チカは小さく咳払いし、アリスに向き直った。 ふいに握られた手から伝導する温もりに、アリスはハッと息を呑みチカの目を真っ直ぐに見据 える。 「ごめんね、今日まで素直になれなくて。」 車内に滞っていた人々が、怠慢な列を作りドアの前に押し寄せ始めた。 両手で握り返したアリスの手はか弱く、今にも 消えてしまいそうに儚い。 「何だか、今言わないと次は無い気がして。 また離ればなれになった時、後悔したくなかったから。」
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!