プロローグ

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扉よ早く閉まれ、電車よ早く動け。そう心の中で 連呼したのをチカは後悔する事となる。進行方向が最寄り駅方面である事に気付いたのは、進み 出してからだった。 * あたしって、本当に馬鹿だ。おまけに運に見 放されている。 半ば放心しながら改札を抜けたチカは、屋根の下に留まり曇り空を眺めた。 真っ直ぐ家に帰る訳にもいかない。かと言って、 ゲームセンター等で暇を潰そうものなら怪しまれて学校に連絡が届くのは間違い無い。 結局無難な考えは浮かばなかった為、チカは歩き ながら再度考える事にした。 傘をさし、雨足の弱まった路面に繰り出す。 人気が無く、暫く雨が凌げそうな場所…。 歩き始めて先ず、チカの目に留まったのはラミ ネートされた張り紙が貼られた柵。次いで、敷地内にあるブランコや滑り台。屋根やベンチのある休憩スペース…。
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