プロローグ

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アリスは腕や肩を支え、立ち上がらせようとする 友人らの手を払いのけた。そして四つ指を揃え 床に額を擦り付けると、 「ごめんなさい…ごめんね…ごめん…」 翌日、教室にアリスの姿は無かった。 * 「今朝、ニュースや新聞に出てたからもう知ってる人も居るだろうけど。」 チカ達の担任は、若い男性教諭だ。大学在学中に この高校で教育実習をしていた。清潔感のある 身なりと、二十数年の人生で一度も染めた事が 無いという綺麗な黒髪が特徴である。 「昨日、このクラスの生徒である立花アリスさんが亡くなった。…目撃者によると、駅のホーム からこの学校の女子生徒が転落する所を見た そうだ。」 担任が顔をしかめた一瞬、クラスメートの憐憫と 怒りの混在した視線がチカに一気集中する。みな 無言だが、こいつ以外有り得ないと心では思って いるのだろう。
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