プロローグ

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「ねぇ!何か言いなさいよ!」 チカのだんまりに嫌気が差した相手は唾を飛ばして激昂すると、彼女の首根っこを両手で締め上げ血がが滲む程の握力で爪を食い込ませた。 これには見てみぬ振りを決め込んでいた生徒らも、間に入り制止を試みる。 これ以上このクラスから死人を出したら、洒落では済まされない。 「返してよ!私達のアリスを!あんたにとっては唯のサンドバッグだとしても_」 キッと睨み返すチカに、女子生徒は威勢を無くした犬の様に語尾を縮める。 その隙を突き、机の横に掛けていた通学鞄を乱暴に取ったチカは歯を食い縛りうつむき加減で教室を飛び出した。 「あっおい、落合!」 廊下ですれ違った教科担任の声に「早退します」と 生返事をしたチカは教諭に一瞥もくれず、昇降口へ一心不乱に階段を掛け降りるのだった。
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